第3曲 飼い葉桶のそばの羊飼いたち

 この曲は、14世紀の古いドイツのキャロル「In dulci jubio」(喜べ、善良なクリスチャンよ)に基づいています。
ローマ・カトリック時代からクリスマス・イブの典礼で歌われ、後にプロテスタントの典礼にも採用された曲の1つと言われているそうです。

 このメロディーは多くの作曲家によって編曲されており、大作曲家J.S.Bachも行なっています。
 他にもYouTubeには、いろいろな編成によるものが、多数公開されていました。

 日本では、讃美歌102番「もろびと声あげ」として、よく知られています。

 ヨーロッパではクリスマスになると、キリストの生誕の場面を再現する、クリッペ(Krippe)と呼ばれる人形飾りが教会に置かれます。家庭の居間に飾られる事もあるそうです。日本のひな人形みたいな感じの様です。
 人形飾りには、幼子イエス、聖母マリア、聖ヨセフ、天使、羊飼い、家畜、東方からの博士などが登場します。
 お人形サイズから等身大のものまで、さまざまな種類があります。

 年末にヨーロッパを旅行した時、教会や街角には色々な人形が飾られていました。
 フリーマーケットの屋台では、可愛らしい人形がたくさん売られていました。

 この曲は、そんなクリッペ(生誕の場面を表した人形)のイメージです。
 ダニエラはどんなクリッペを飾ったのでしょうか。

 この曲の旋回するようなSecondoパートはファゴットの響き、Primoのパストラール風の歌はオーボエ4本の響きです。
 冒頭は柔らかな変ニ長調は夜の調、中間部のホ長調は神の調です。
 リストは、詩的で宗教的な調べ第10曲「愛の讃歌」「アヴェマリア・ローマの鐘」もホ長調、天国を思わせる神の調で書いています。
 いずれも心をこめた歌、dolce legatoで演奏します。

 それでは、第3曲「飼葉桶のそばの羊飼いたち」聴いてみてください。

 2021年10月31日 三和レコーディングスタジオにて録音

 Primo:磯部太美枝
 Secondo:リヒャルト・フランク

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