第6曲 カリヨン

 西洋の教会などにある鐘の事をドイツ語でGlocke(グロッケ)、それらを複数設置して演奏台によって奏する楽器をドイツ語でGlockenspiel(グロッケンシュピール)フランス語でCarillon(カリヨン)と言います。
 これらは教会だけでなく市庁舎などにも設置され、街中に鐘による調を奏でる事ができます。

ベルギーのメッヒュレンにある「聖ロンパウツ大聖堂」
鐘楼にはカリヨンが設置されている。

 カリヨンは、塔そのものが楽器という事なので、世界最大の楽器といえます。

『聖ロンパウツ大聖堂」のカイヨン

 カリヨンは鐘の内側に打つ部分が付いていて、それが「バトン」と呼ばれる木の棒にワイヤーで接続されていて、演奏者がバトンを押し鳴らすと鐘が響く仕組みになっています。
 複数の鐘は音階になっています。

 カリヨンの音色を手軽に手に入れるため、17世紀には金属の棒によって鐘を代用し、それを鍵盤楽器によって叩いて音を出す楽器が登場します。
 鍵盤グロッケンシュピールと呼ばれ、モーツアルトオペラの「魔笛」k.620で活躍します。

 鍵盤グロッケンシュピールはその後鍵盤部分が取り払われ、金属部分が剥き出しになり、バチで叩いて奏するものが発明され、現在はブロッケンシュピールといえばこのタイプになっています。

 金属部分をハンマーで叩いて鐘のような音を出す楽器には、チェレスタもあります。チャイコフスキーのくるみ割り人形より「金平糖の踊り」で使われているのは有名です。

 シュトラウスの「薔薇の騎士」「サロメ」、ラベルの「ボレロ」、バルトークの「弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽」ほか、たくさんの作品の中に使われています。
 
 チェレスタは、19世紀後半パリの楽器製作者オギュスト・ミュステルによって発明されました。

 リストがどんなカリヨンを思って、この曲を描いたのでしょうか。
 長いペダルの中での和音のスタッカート、トレモロが、まさにクリスマスに街中に響き渡るの鐘の音の様で、この曲を聴いていると幸せな気持ちにさせられます。

 それでは、第6曲「カリヨン」聴いてみてください。 

 2021年10月31日 三和レコーディングスタジオにて録音

 Primo:稲垣杏花
 Secondo:リヒャルト・フランク

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